流れるような金の髪。
あまり他人に固執しない僕が、欲しい≠ニ思ったもの。
「……キレーだよねぇ、いつも思うケド」
「――――な……にが……」
力なく答えたリオの表情には、明らかに疲労の色が浮かんでいた。
なんというか情事のあと、疲れるのは至極当然のコトで。
「テメ、こっちゃ疲れてンだよ……」
「そう? あと二回くらいなら僕できるケド」
「
殺す気か」
ドスのきいた声でリオがうめくように言った。
ベッドの中から抜け出せず、いまだに動けないリオは恨めしげに、部屋に置いてあった木製のイスに腰掛けて微笑みを浮かべているサプリを睨む。
「アハハハッ、ジョーダンだよ」
タバコに火をつけながらサプリが言う。
リオはハァ、とため息をついて諦めたようにマクラに突っ伏した。
「でも、ホントキレーだ」
「だから何が」
「髪」
「は?」
視線だけをサプリに向けていたリオは、サプリの答えに身体を起こした。
――の途端、ズキンと腰に痛みが走り、またベッドに突っ伏してしまう。
そんなリオの様子を見つめていたサプリがクスクスと笑う。イスから立ち上がり、ベッドに近づく。
しゃがんでリオと視線を合わせると、いつもはポニーテールに纏められている長い金髪を一房掬い取り、口づける。
「な……っ!?」
突然のサプリの行動にリオの頬が赤く染まった。
「ん〜? 何、感じちゃった?」
「殴るぞ」
「怒んないでヨ」
クスクスと笑いながら、サプリは金の髪を弄ぶ。
「やめろ、いたい」
「イーヤ、やめないvv」
髪をサラサラと零しながら、口づけを落としていく。
リオの顔はこれ以上は赤くなれない、というくらいまで赤くなった。
サプリは「カワイイ」、と小さく呟いた。その呟きは、当惑しているリオには聞こえなかったようだ。
「…………星みたいだね」
「あ……?」
「月明かりに反射して、光るんだよね」
「そーか?」
「うん。アマノガワ≠ンたいなんだよね」
「へぇ……」
髪を弄られるのと、頭を撫でられるのとは同じ感覚なのだそうだ。
気持ちよさそうに息をついて、リオは静かに目を閉じた。
「あー、眠い?」
なんか三つ編みを作り出したサプリが聞くと、リオは「あー……」と返事になっていない返事をした。
「そう、おやすみ」
「ん……すみ……」
それだけ言うと、リオは睡魔に身をまかせた。
「…………」
欲しいと思った。
この星の化身のように美しい金の髪を。そしてその持ち主も。
誰かに執着したことのなかった自分が、唯一執着したもの。
手に入れてどうするのかなんて知らない。手に入れたら、どうして執着したのだろうと思うかもしれない。
「……まあ、手放しはしないだろうけどね」
眼を細め、酷く冷たい笑みを浮かべてサプリは眠っているリオを見つめ、
「君は僕のものだよ――リオ」
独白に近いような小さな呟き。
その声には、大きな支配欲が秘められていた。
あとがき
なまぬるいですかね。
もっともっと精進したいと思います。
次あたり15禁を……っ!!(無理っぽい……)
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